キャリコンが「コーチングの基本」を読んでみた

ども!キャリアグリーンの杉山です。

最近、「キャリアコンサルタントとコーチングは似てる」とか、あるいは「違うものだ」とか、そうした意見を目にしまして、自分は「コーチング」というものに全く無知だったことに気づきました。

クライエントさんから「キャリコンとコーチングってどう違うんですか?」と聞かれて答えられなかったら困るなぁと思ったので、さっそく勉強することに。(無知の知にはいつも感謝)

バズってたツイートで紹介されていたのが「コーチングの基本」という本で、タイトルに「この1冊ですべてわかる」と書かれていたので「こりゃ安心だわ〜」と思い購入して読みました。

今日はこの「コーチングの基本」で学んだことをベースに、キャリアコンサルティングとコーチングの違いについて、自分なりの考えを書いてみようと思います。

とはいえコーチングにはいろいろな手法があるようなので、「それは違うよ」と思う方がいらっしゃったら「ごめんなさい」と申し上げておきます。

キャリコンとコーチングの違い

忙しい方のために結論から先に述べておこうと思います。

私はキャリコンとコーチングの最も大きな違いは「最も重要視しているテーマ」にあると感じました。

重要視するテーマ
キャリコン自己実現・目的や目標の設定
コーチング目標達成・クライアントの成長

私はキャリアコンサルティングの価値というのは「クライエントが自己実現可能な未来を自分で描き、その未来に自己を同一化できること」だと考えています。(ナラティブ・キャリアカウンセラーの立場から)

これはコーチング用語に置き換えると「目的・目標設定」を最も重要視していることになります。

一方、コーチングが最も重要視するのは「目標達成」の部分です。

「クライアントは目標は達成しませんでした。しかし、クライアントはコーチングの中での対話や関わりには満足してくれましたのでコーチングはうまく進みました」ということは、コーチングの成果としては認めがたいということです。

コーチングの基本 p.24より

キャリアコンサルティングでは、クライアントがキャリアの目的や目標を描けるようになることを重要視し、コーチングでは目標をいかに達成するかを重要視しているようです。

本を読んでみて、私はそれが最も大きな違いだと感じました。

とはいえ、コーチングが目的や目標設定を軽んじているわけではなく、むしろかなり重要だと捉えていることも分かりました。

クライアントが真に達成したいと思っている目標を設定できたとき、クライアントのエネルギーが高まり自発性が発揮され、コーチングの成果が約束された経験を何度もしてきました。繰り返しになりますが、目標設定が成功すれば、そのコーチングは半分以上成功したといえるのです。

コーチングの基本 p.123より

バファリンの半分は優しさでできていますが、コーチングの半分以上は目標設定でできているようです。

そういう意味では、キャリコンとコーチングがとても親しい関係にあるという話も納得ができますね。

「似ているけれども、重要視するところが違うよ」というのが、両者の関係性なのだと思います。

アカデミックなキャリコンと実務的なコーチング

これだけの違いだとつまらないので、もう少しだけ違いについて考察したいと思います。

「コーチングの基本」を読んで感じたのが「こういう場合は、○○○という質問をしてみましょう」や「○○○を行う質問の例」という表現の多さでした。例えば以下のようなパターンです。

Possessionの視点からの質問例

・理想に近づくために自分に必要なものは何ですか?

・目標達成のためにはどんな分野の情報が必要ですか?

・自分がいまもっている知識やスキルで使えそうなものは何ですか?

コーチングの基本 p.51より

キャリアコンサルタントの養成学校では、「こういう時は、こんな質問をしましょう」という教え方をされるケースはほとんど無いと思います。

それゆえ、ロープレを行っていると受験生から「こういう時にどんな質問をすれば良いか、浮かんできませんでした…」と言われることは多々あります。

この観点から見ると、コーチングを専門的に学んだ人は、キャリコンだけを学んだ人と比較して、より実務的な質問力があるというか、質問のボキャブラリーを豊富に持っているだろうなと推察されます。

じゃあ「キャリコンは良いところが無いの?」と言われればそんなことはありません。キャリコンは理論に基づいた見立てや支援をすることができます。

キャリコンはクライアントの話を聞きながら、「今、このクライアントはどういう状況なのか、支援にはどんなことが必要か」についてキャリア理論をベースに考えることができます。

キャリア理論の多くは、長い年月をかけて学術的に研究されたもので、経験や思いつきで編み出されたメソッドとは格が違います。

それゆえに、理論を学んだキャリコンはクライアントを見立てる力(クライエントが気づいていない問題に気づく力)が高いと言えるのです。

さらには支援の方向性についても、クライアントの経験や思いつきに引っ張られることなく、学術的な視点や根拠に従って助言することもできます。

もちろん理論は万能ではなく、全てが理論どおりにいくことはありません。

それでも先人たちの偉大な知恵を使うことができるのは、キャリコンの大きな強みと言えるはずです。

そのように捉えると、ややアカデミックな印象のキャリコンに対して、実務的で実践的なコーチングという構図が私の中に生まれました。間違っていたらすみません。

キャリコンとコーチングの悲しい共通点

せっかくなんで最後はキャリコンとコーチングの共通点について語って終わりにしましょうかね。別に仲が悪いわけじゃないですし。

この2つの共通点は「外国産」ということ。だから日本発祥の理論やメソッドがとにかく少ない…(怪しいのはいっぱいありますけど)

食べ物やファッションなんかが顕著ですけど、海外のものって日本にそのまま持ってきても、なかなかうまくいかないケースってあるんですよね…。

私としてはキャリコンやコーチングが日本に文化として根付き、日本ならではのキャリアやコーチング理論が醸成されていけば良いなぁと思ったりしております。

ということで「コーチングの基本」を読んで感じたことを書いてみました。とても分かりやすい内容の本になっていますので、興味ある方はぜひ読んでみてください。

質問に自信がないキャリコンさんにもオススメかもしれません。ではまた!

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