キャリアコンサルタント試験のロープレに関わる全ての人に

どうも、ブログではお久しぶりになってしまいました。杉山です。

ここ最近には何をしていたのかと言うと、キャリアコンサルティングからは少し離れて、また少し違う学びやこれからについてを考えていました。

キャリコンの資格を取ってからというもの、キャリアや哲学、カウンセリングの勉強に没頭しすぎているところがあったので、ここで少し客観的に、俯瞰的にキャリアコンサルティングを見つめられたらなと思ったのです。

その結果は少し置いておいて、キャリアコンサルタント試験のロープレ実技について、受験生に、そして指導者やCL役として参加するホルダーに伝えておきたいことを書いてみたいと思います。

キャリアコンサルタント受験生へ

自分自身を振り返って思うのですが、私はキャリコン試験を受けて、合格してもなお、キャリアコンサルティングのことを全く分かっていませんでした。

私がキャリアコンサルティングについて本当に(まだその片鱗ですが)理解できたのは、合格をしてから実践に向けて本気で学んでからです。

ですからそういう意味では、キャリアコンサルティングのことを全く理解していなくても、キャリアコンサルタント試験は合格できます。

そもそも試験自体がインテーク面談の冒頭15分を行うだけですからね。

60分や90分の面談を見て評価されるわけではないので、キャリアコンサルティングの全体像を理解していなくても、合格できてしまうのかもしれません。

(そういう意味では、キャリアコンサルタント試験に合格するだけでは、キャリアコンサルティングはできないということになります。恐ろしい話ですが)

では実技ロールプレイでは一体、何を考えて試験にのぞめば良いのでしょうか。

結論から言えば「ロジャーズの言う、3つのカウンセリングの基本的態度を体現する」に尽きます。

つまり「一致」「受容」「共感的理解」ですね。これは簡単なようで、非常に難しいことです。基本にして究極の奥義ともいえます。

多くの受験生をみていると、さまざまな資格対策講座や練習会で「あれはしてはいけない」「これはしてはいけない」と言われ、なんだか窒息寸前になっているようにみえることが多々あります。

また「こういう話をされたら、どう返すのが良いですか」という、いわゆる「正解を求める」受験生も多くいらっしゃいます。

いずれのパターンにおいても、自分がキャリアコンサルティングにおいて、何を提供しようとしているのかについて、深く理解する必要があるでしょう。

「正解の人生」なるものが無いのと同じで、正解のカウンセリングというのも存在しません。

キャリアコンサルティングとは、関係性で進行するものであり、共同作業なのです。その共同作業をスムーズに、そしてCLにとって利のあるものにするためには先に述べたロジャーズの考え方・態度が非常に重要になってきます。

ロールプレイが上手くいかなかった際には、ぜひ「一致」「受容」「共感的理解」のどの要素がうまく機能しなかったのかを振り返ってみてください。

繰り返しになりますが「一致」「受容」「共感的理解」は非常に難しいものです。プロと呼ばれる人ですら、できている人はわずかでしょう。

うまくいかなったことは「失敗」ではありません。CLのために精一杯がんばるという気持ちと態度を表現できれば、それを非難できる人はいないでしょう。

もっと深く知りたい方は、個別指導に申し込みをしてみてくださいね。

指導者・ホルダーへ

ここからはキャリアコンサルタント試験の指導をなさる方や、ロープレ会に参加して受験生にフィードバックをされる方へ、私から指導にあたってのお願いを書きます。

なぜこのようなことを書くかといえば、さまざまな受験生をみてきて、「ずいぶんと酷い指導を受けたんだなぁ」と思うことが増えてきたからです。

多くの指導者の方は素晴らしい指導をされていると思うのですが、一部の方はいわゆる「型にはめるだけ」の指導をされているようです。

つまりCLが何を話そうが、CCはあらかじめ用意した質問を順番に行い、口頭試問も用意してきたセリフを暗唱するだけといった指導です。

多くの受験生を指導する上では、型を用意して、それを全員に一斉にやらせた方が楽でしょう。(まるで道場での稽古のように)

しかしキャリアコンサルティングにおいて、教える側が楽をしようとしないでいただきたい。型で教えるというのは、受験生一人ひとりの個性や人格と向き合わないということです。

キャリアコンサルタントという、人と人の人生に向き合う資格者が、受験生とすら向き合う覚悟がないのであれば、指導などしないでいただきたいというのが本音です。

キャリアコンサルティングが上達していく過程をみていると、初期に最も大切なのは技法よりもマインドセットや心理的成長です。

技法を教えるだけで上達した受験生を私は見たことがありません。つまり、「この応答に対しては、このように応答しましょう」という指導では、十分ではないのです。

型を教えるよりも、ぜひ「一致」「受容」「共感的理解」の理解を深める手助けをしてあげてください。

そのためには資格者として「一致」「受容」「共感的理解」を持って、受験生に関わってあげることが1番の手助けになります。

受験生が「うまくできなかった」と落ち込む場合には、その気持ちを受容し、共感的に理解してあげてください。

それができれば自然と「◯◯すべき」という型にはめる指導から、「あの質問のときは、どういう心境だった?」とか「この時はどういう風に感じていたの?」といった相手を理解するための質問へと変わっていきます。

ここからうまく共同作業ができれば、「◯◯すべき」と教えなくても、受験生からは自然と「もっとこうできればよかった」とか「もっとこうしたかった」という思いが聞けるでしょう。

その思いには正解も不正解もないので、指導としてはそこで十分だと私は思います。

そして勘の良い方であれば、そのプロセスこそがキャリアコンサルティングで行われるそのものなのだと、気づくでしょう。

どうか、そうした指導が増えていくことを切に願っています。ではまた。