キャリアカウンセリングをめぐる冒険その1「なんでカウンセリングなのだろう?」

ブログではお久しぶりになってしまいました。

杉山です。

先日のツイートに多くの反響を頂いたので、今回からしばらくキャリア”カウンセリング”の理論と実際について、書いてみたいと思います。

これは私がキャリアコンサルタントの資格を取ってから歩んできた葛藤と冒険の結果、現時点で私が辿り着いている場所についてのお話です。

できる限り平易な言葉を選んで綴りたいと思いますが、専門的な用語や概念が出てくる場合もございます。

少し長いお話なるかもしれませんが、ご興味のある方はご一緒しましょう。

なぜカウンセリングなのだろうか?

キャリアコンサルタントの養成講座で驚くことの1つは、実技で習う内容のほとんどがカウンセリングである点だと思います。

なぜコンサルティングではなく、カウンセリングなのだろう?というのが、私の最初の疑問でした。なので今回はそれについて書きます。(今回は準備運動的な内容です)

現時点で私はキャリアコンサルティングというのは、いわゆる和製英語に近いものと認識しています。(ナポリタンみたいなもの)

海外で研究されているキャリア理論の多くはキャリアカウンセリング、あるいはキャリア開発(ディベロップメント)と表記されています。

ただそれがなぜか日本で国家資格になるにあたっては、キャリアコンサルタントという名称になったんですね。

想像するに、おそらく先にあった産業カウンセラーという資格との違いが曖昧になることを危惧したのだと思います。

あるいはカウンセリングと言ってしまうと、健常者は対象とならないようなニュアンスが含まれるのが嫌だったのかもしれません。(日本ではカウンセリングはまだまだ一般的ではないので)

国としてはキャリア開発の全般的な手助けをできる専門家を作りたかったはずなので、カウンセリングだけではなく、それらも含有した存在としてコンサルタントという名称を選択したのだと思います。

そういうワケ(?)で、名称としてはコンサルタントなのですが、実技で実際に学ぶことの大半はカウンセリングであるというのが、キャリアコンサルタントの学びの上で大きな違和感となっています。

キャリアコンサルティングといっても面談のアプローチはカウンセリングの作法なので、密室で、1対1で、守秘義務を重んじで、相手がメンタル疾患かどうかに注意しながら行うことを徹底されます。閉じられた世界という印象を受けますね。(これをするなら最初からクライエントさんにはカウンセリングと言いきったほうが良かったようにも思います。)

また現在、国が普及を推し進めたいのは、ジョブ・カードを活用したシステマティックアプローチをモデルとしたキャリアコンサルティングです。

私がこれから書こうとしているのは、その中の狭義のキャリア・カウンセリングについてなので、ジョブ・カードの活用方法やシステマティックアプローチに準拠した面談方法などは登場しません。

キャリアコンサルティングにおけるキャリア・カウンセリングについて、あえて書いてみようと試みるのは、実際にキャリアコンサルタント資格者から、キャリアカウンセリングの実践について相談を受けるからです。

相談内容の多くが「話を聞くことはできるが、その後どうしていいか分からない」「そもそも、聞くだけでどうなるのか分からない」というものです。

これは「キャリア・カウンセリングって何をしたらいいの?」という根源的な問いといっても良いかもしれません。この問いは、私自身もキャリア・カウンセリングを実践する中でずっと葛藤を続けてきたものです。

キャリアコンサルティングの養成講座では、さまざまな理論やアプローチを習い、最終的には特定の理論に依らずそれらを「包括的・折衷的」に使用することを求められます。

これはクライエントに合わせてさまざまな理論を最適化して使いましょうという意味なのですが、個人的にはあまりにも難易度が高いと感じられます。

心理カウンセリングの専門家も、さまざまなカウンセリング手法の中から自分の得意とする技法や手法をある程度は絞り込んでいるのが一般的ではないでしょうか。認知行動療法の専門家もいれば、家族療法の専門家もいますし。

一介のキャリアコンサルタントがそれらを自由に使い分けるというのは難しいと思います。その結果、キャリアコンサルティングの世界ではカウンセリングをどうやっていいのか迷う人が多く見受けられます。またシステマティックアプローチこそが正解であると思っている方もいるかもしれません。

それ故に、私は自分が学び実践するキャリア・カウンセリングについて書いてみようと思ったのです(長々と説明すみません)。

だらだらと、この文章を書く理由について書いてしまったので、今回はここまでにしたいと思います。次回から、本題としてキャリア理論とカウンセリング理論について、それらをどのように理解し、活用できるのかについて記していきたいと思います。

冒険は続く